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「何?やーちゃん、食べないの」
「……食べる」
「あ、新しいケーキ出てた。買って来てやろうか?」
「いらない」
いつものメンバーで昼食をとりつつ座談会を開きつつ、哉有の能面のように動かない表情を何とかしようと周りがお膳立てをしつつあるところ。
「何ー、やあ坊。ミサキさんと喧嘩でもした?」
「ここの!」
「あ」
途中参戦した山王が、しまったと自分の口を押さえたってもう遅い。
む。
哉有の表情が朝イチのそれに戻ってしまった。
「っちゃー……」
幅野がため息をついた。
(……思い出したらまた腹が立ってきた……)
結局今回も都和の思惑通りにことが運んでしまった。
(絶対にずるい!あんなの、俺が敵うわけない!!)
ベッドに放り込まれ、とことん甘く抱かれて泣かされまくり、望みもしない食事会まで約束させられて、朝から宥めるようなキスの嵐。それでも多少は悪いと思っているのか、夕食は外食にしようと言って来た。
断る理由もないし、そんなの断って子どもだとも思われたくない。
嬉しいんだか悔しいんだか腹が立つんだか、もう!
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