【限定解除!?】11.哉有の、定位置

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【限定解除!?】11.哉有の、定位置

「桜橋医師を呼んで」 「ん……?」  聞き覚えのない声に、哉有はぼんやりと天井から視線を動かした。  視界がはっきりすると、髪を撫でられた。 「あ」  ゆっくりと瞬きをすると、苦笑する都和の顔が見えた。 「美咲さん」 「気分は?」  よくない。 「頭が痛くて、気持ち悪い」 「……そうだよな」  横になったままの哉有を、都和が上から抱きしめた。 「仕事は?」 「アホ。してる場合か。……てか、できねえよ」 「……すみません」 「お前のせいじゃないだろ」  ぎゅ。  そして、ノックの音。 「あ、よかった。大丈夫そうだね」  のんびりとした声は、毎月聞いているそれだ。 「先生」 「うん。寝てる間に検査はしちゃったけど、身体に問題はなさそうだから。美咲さん、こんにちは」  入って来たのは、桜橋医師だった。 「お世話になります」 「すみませんが、診察兼ねて、少し二人で話をしてもいいですか」  美咲は頷くと、「お願いします」と静かに病室を出て行った。 「柊くん?」 「はい」  にこ、と桜橋は笑うとそっとベッド脇に座った。 「気分は?」 「頭が痛いです。吐き気もする」
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