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「うん。点滴しとこうかな。酒井さん、カルテはこれ、濃度と流量注意してください」
「はい」
既に用意してあった機材を引き寄せると、中年の優しそうな看護師は慣れた手つきで哉有の腕を取った。
「最近、Heatはちゃんと来てる?」
「来てますけど、今月は……まだ、かな」
「うん。ちょっと遅れてるかな」
「……色々あって」
はー、とため息をついて天井を見上げた哉有を見、「うんうん」と桜橋は微笑しながら頷いた。
「お腹痛くない?」
「?最近よく痛くなるけど。……大丈夫です。全然痛くない。何か」
「うん。痛くないなら大丈夫だ」
桜橋は手元のパソコンを見ながら、いつものように穏やかに言った。
「日常も問題なさそうかな」
「……問題、山積みであれこれ溜め込んでます。うまく吐き出せないうちに、次々次々」
はー、とため息をつく哉有を見て、ふふ、と桜橋は笑った。
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