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【限定解除!?】12.タネアカシ
玄関に入った哉有の眼が据わった。
何故か、都和の靴の隣に見覚えのある靴がある。
(も――――。何度目だよ、これ――――。……あれ)
宏香のものではない、高級ブランドのハイヒール。と、見覚えのない小ぶりなパンプス。
倒れたのは昨日。約束していた恐怖の金曜日はまだ先のはず。
昨日食べきれなかった料理は今日の昼に天笠に車で引き取りに寄ってもらい、いつものメンバーに頼んで消費してもらった。メンバーからすると「手伝う?とんでもない。めちゃラッキー♡」。文句なんてあるはずもなく、彼らは遠慮なく高級料理を堪能した。
「…………」
そもそも、何故都和の方が先に帰っているのかもよくわからない。
「哉有?帰ったか」
ひょい、と正面に顔を覗かせた都和は、すでにニットとパンツ、という寛ぎ着になっている。
「早かったですね」
「ちょっとな」
……何か、嫌な予感しかしないんですけど!!
どう見てもあのハイヒールは美咲母のものだ。
「哉有さん、お帰りなさい」
聞き覚えのある声に顔を上げると、
「柳さん」
優しそうな年配の女性が、にこやかに笑っていた。
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