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「開けてみて。こんな大きな石がついた指輪なんてできないでしょうから、一応ペンダントヘッドにしたんだけど。まあ、好きなように作り直してちょうだい。都和、哉有さんに似合うアクセサリーにしてあげたらいいわ」
何だ何だ何だ!?
言われるがままに箱を開けると、時代に似合わない大きな石のペンダントヘッドが、チェーンとともに鎮座していた。
「それと」
とん、と無造作にテーブルに置かれた婚姻届。
「え……」
証人の欄には、都和の両親の名前が綺麗な文字で書かれている。
「在学中でも、卒業をしてからでも、時期は二人で相談なさい。今日以降、いらない邪魔が入らないようにそれなりに対応をするから、そこは了承してちょうだい。それと」
戸惑った哉有の瞳が、美咲母を見上げた。
「同居はお断りよ。うちは防犯は完璧だし部屋数もあるけど、それぞれの部屋を防音壁にはしていないの。毎晩息子の盛った様子を聞かされるのはごめんだわ」
割とえげつないことを当たり前のようにあっさり言ってしまう美咲母。この辺はどうやら血筋?
とはいえ、聞いた途端に真っ赤になった哉有を見た都和が吹き出した。
「母さん、あんまり虐めてやるなよ」
「あら、どこが?私なりの最大限の祝福よ」
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