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ただし。出会いがいまいちで、恐らくは相当怖がらせているので、とりあえずそれを何とかしよう。
と言うことで、お得意のおでんでまずは胃袋から参りましょう、となり、哉有はばっちりそれにハマったわけだ。
「……やっぱりな。そんなことだろうとは思ってたけど」
と都和が大きなため息をついて箸を置いた。置いてあったお猪口を取り上げつつ、
「まあ、母さんをこっち側につけとかないとこの先面倒だし、そうなると俺も早く早くと焦って、つい哉有に無理させてあんなことになっちまって。……ごめんな。どうしようもなく後悔してる」
「?」
くしゃくしゃ、と髪を撫でられて哉有が片眼を閉じた。
「あの」
「ん」
「行儀悪いけど、ごはんにおでんの出汁、かけて食べてもいいですか」
「……お前、話聞いてた?」
こく、と哉有は素直に頷いた。
「聞いてます。でも」
「でも?」
「……いまいち実感が湧かなくて」
そして、半眼になる哉有。
「…………」
くす、と柳が笑い、柳が立ち上がった。
「ごはんにお出汁、最高ですよ。少し食べたらね、これを入れてみてください。風味が変わります」
出てきたのは少し温めたおろし生姜と、小口ネギ。
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