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痛くて、苦しくて、
……いいんだ?
「息、が」
「……ん」
「できな……っ」
ごめん、と身体の束縛が緩むと、哉有は顔を上げた。見たことがない都和の少し本当に戸惑ったような表情を見て(可愛い)なんて思ってしまい、それと同時に何かが吹っ切れた。
「美咲さん」
「うん」
そっと都和の頬を両手で包み込むと、
「俺と、一緒にいてください」
「……え?」
「ずっと、俺だけのところに、ですよ」
不意打ちを食らって見開かれた両眼を見て破顔し、
「俺から欲しがっても、いいんですよね」
掠めるように唇に口づけて。
「……自信なんて全然無かったから」
「哉有?」
「全部普通で、何も取り柄なんてないし。一緒にいられるだけでいいんだと自分に言い聞かせてたのに、美咲さんがあんまり俺を甘やかすから」
ぎゅ、と頭を引き寄せた。
「その気に、なるじゃないですか……っ」
ぐい、と都和が哉有の腰を抱え上げた。
「遅えよ。もっと」
「ん」
する、と都和の唇が哉有の耳元に触れると、ぴく、と哉有が肩を竦めた。
「もっと俺を欲しがれよ」
「……ください。……全部」
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