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彼らの対応をしていたこの店の責任者が心の中で叫んでいた。よくよく見れば、確かに彼女?の左の薬指にあるのは、珍しいタイプのエンゲージリングだ。
(ああ)
責任者はそこでひとり納得をした。
(それにしても、男には見えん……が、声だけは、……そうか)
そう。結構なギャップ。
都和は哉有の手を取り、んー、と暫く見つめていたが、
「まあ、そうだな。じゃあ、デザインはこれ、ここにこれとこれ、石はこれ、石を入れる位置はここで」
「畏まりました」
本当にたまたま。都和御用達のこの高級ブランドが、ひと月だけマリッジリングのフルオーダーキャンペーンをしているというのを耳にした都和が哉有を連れて店を訪れたところ、「いいですね」のひとことでオーダー決定。とっととサイズを測らせ、あれこれを選び、そして。
「出来るだけ早く」
とだけオーダーし、とっとと支払いまで済ませると、都和は機嫌良く店を出た。当然ここでも金額なんてどこに書かれているでもなく、支払い時に見えたゼロの数に、哉有は眼が飛び出しそうだった。
「食ったことないんだよなー。昼、これにしない?」
「……本気で食べたこと無いんですか?」
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