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「おいしいですよ、特にここは個人のバーガーショップだし、人気あります。たまに無性に食べたくなる……」
「哉有?どうした?」
顔を顰めて下腹部を押さえた哉有が、バーガーを置いた。
「腹が、……い、た……」
「哉有?」
一気に青ざめた哉有の額に、薄ら汗が浮かんだ。
「……動くな」
低く言うと、都和は持っていたものを全てそこにあった紙袋に放り込み、そっと哉有を抱き上げた。
「……つ……っ」
幸い、かかりつけの病院は車なら10分程度だ。救急車を呼ぶよりも連れて行ったほうが早い。
手早く哉有を後部座席に横たえると、
「少しだけ、我慢できるな」
「……ん……」
小さく聞こえたそれは、間違いなく震えていた。
「哉有?」
ミラーで見える表情は、苦しそうに歪んでいる。
「御堂総合病院へ電話」
都和はそのまま病院に電話をかけた。
「……今日は、桜橋医師はいらっしゃいますか」
『おりますが、現在診察中で電話はお繋ぎできません』
都和はほ、と安堵のため息をついた。
「いつもお世話になっている柊哉有です。急に腹痛を訴えて倒れたので、今そちらに向かっています。あと5〜6分で」
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