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【限定解除!?】14.不束者ですが
「……はい?」
桜橋医師の質問の意図がいまいち理解できず、都和は眉をひそめて聞き返した。ああ、と苦笑しながら桜橋が髪をかき上げた。
「いや、立ち入ったことをすみません。美咲さんは、柊くんとは、もうただの先輩後輩じゃないですよね?」
ベッドで点滴を受けながら眠っている哉有を、都和が見つめ続けて1時間。指に光る指輪に視線をやりつつ、桜橋が穏やかに言った。
「そう言う意味なら、もう夫夫みたいなもんです。一緒に住んで暫くになりますし、あいつの首の後ろには俺の咬み傷もある」
「うなじの傷はいつ?」
「去年の年末当たりに」
うん、と桜橋は微笑んだ。
「……?」
やはり都和が怪訝そうに桜橋を見つめると、桜橋は微笑して何かを言い、
「……、…………。……」
見開かれた都和の眼の、その視線が真っ直ぐに注がれたその先で。
「…………」
ふ、と哉有が目を開いた。
「……れ?」
ぱち、と大きな眼で瞬きをし、哉有はぐるりと首を回して室内を見回した。
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