【期間限定で!】1.あなたのものになりました

2/9
前へ
/247ページ
次へ
「あー……」  さて。  コンビニのイートインスペースで唸る若者が一人。  柊哉有(ひいらぎ やゆう)、20歳。抑制剤が効きすぎるため、誰からもほぼβとしか思われていないが、実はれっきとしたΩ性、ただいま国立大学2回生の10月。母親に似た女性的な顔立ちと小柄な体型で、しょっちゅう女性と間違われる。  この夏休み、もともと仲が冷え切っていた両親がついに離婚。とりあえず哉有は生活のため、やむなく離婚の元凶を量産しまくった父親と自宅で暮らすことを選択したが、なんと自宅が隣から出火した火災に巻き込まれて全焼。数年前に住宅ローンを完済していたが、それきり火災保険の更新をしていなかったとかで、損害への補填ができる見込みが全くなくなったところで、父がさっさとトンズラした。  一応、それなりの企業のそれなりの立場にいる父だったが、中途半端に家のことに口出しをしつつ、それなりに金があって自由に生活をするとこうなるのだろう。
/247ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2884人が本棚に入れています
本棚に追加