【 運命の糸 】

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【 運命の糸 】

 学校からの帰り道、僕は少し遠回りをして別の道から自転車で帰ることにした。  なぜそうしたのかは分からない。何かに導かれるように、そちらの道を選んだのだ。  それがすぐに正解だったと気付く。  なぜなら、前から大きな胸を揺らしながら自転車を漕いでいる美流先輩を見つけたからだ。 (あっ、美流先輩)  橋の向こう側で、彼女も僕に気付いた。  でもその時、突然暴走した車が美流先輩に横から接触した。 「あっ! あぶない!」 『ガシャン!』  僕の声も虚しく、時既に遅し。  美流先輩は、自転車ごと橋の柵に激突し、そのまま体が宙を舞い、橋の下の川の中へと落ちて行くのが見えた。 『ドボーン!』 「マジかよ! 何してくれてんだ!」  僕は自転車を全力で漕ぎ、橋の上から彼女の行方を捜した。 「美流先輩!」 「颯流くん! ぷふぁ……、た、助けて……!」  見ると、泳ぎの得意のはずの美流先輩の様子がどこかおかしい。  車と衝突した際に、どこかぶつけたのかもしれない。 「美流先輩、大丈夫ですか! 今、助けに行きます!」  僕は、橋の横にある小道からコンクリートの階段を下りて、美流先輩のいる川を目指す。  美流先輩の様子は明らかに変だ。泳ぎがあんなに得意なのに、どんどんと流され、もがき苦しんでいる。 「颯流くん……、たすけ…ぶふぁ、ぶぶぶ……」  マズイ。美流先輩はどこか怪我をしているに違いない。  このままでは、溺れ死んでしまう。 「美流先輩! 今、助けますから!」  僕は砂利道を全力で走り、そのままの勢いで川の中へと飛び込んだ。
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