32人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
【 エピローグ:あの日の約束 】
僕らはしばらくその場で、抱き合った。
そうすることで、お互いの呼吸が楽になるような気がしたからだ。
やがて、ふたりとも落ち着きを取り戻した。
彼女も涙は止まったようだ。
「颯流くん、助けてくれてありがとう」
「うん、僕も助けてもらったからね。2度も」
「うふふ、覚えていてくれたんだ。あの時のこと」
「ああ、なぜか何度も同じ夢を見たんだ」
抱き合っていた体をゆっくり離すと、彼女の濡れて透き通った大きなかわいい水色の下着が見えた。
僕の目線に気付き、「もう、また私の胸を見てる」と彼女は笑った。
「でも、小さい頃、颯流くんを助けたのは、本当は私の母。私はそんな颯流くんのことを母と一緒に介抱してた」
「えっ? そうなんだ」
その時、あることを思い出した。
「ひょっとして、美流先輩のお母さんの口元にホクロって……」
「あるわよ。よく覚えてたね、颯流くん。うふふっ」
そういうことだったんだ。
でも、お母さんと美流先輩は、同じ手の感触と同じ匂いがする。
そして、胸もやわらかくてとてもでっかい。
「あと、あの時した約束、覚えてる?」
「えっ? 約束?」
「もう、忘れちゃった?」
「何だっけ?」
彼女は、今まで見たこともないような優しい笑顔で僕にこう言った。
「今、颯流くんが私にしてくれたこと……」
「えっ? 今したこと?」
「分からなくてもいいよ」
そう言いながら、もう一度僕に抱き着いた。
彼女の大きな胸が、僕の心臓と呼吸を速める。
「私も同じ夢を、ずっと見続けていたから……」
(了)
最初のコメントを投稿しよう!