【 エピローグ:あの日の約束 】

1/1
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

【 エピローグ:あの日の約束 】

 僕らはしばらくその場で、抱き合った。  そうすることで、お互いの呼吸が楽になるような気がしたからだ。  やがて、ふたりとも落ち着きを取り戻した。  彼女も涙は止まったようだ。 「颯流くん、助けてくれてありがとう」 「うん、僕も助けてもらったからね。2度も」 「うふふ、覚えていてくれたんだ。あの時のこと」 「ああ、なぜか何度も同じ夢を見たんだ」  抱き合っていた体をゆっくり離すと、彼女の濡れて透き通った大きなかわいい水色の下着が見えた。  僕の目線に気付き、「もう、また私の胸を見てる」と彼女は笑った。 「でも、小さい頃、颯流くんを助けたのは、本当は私の母。私はそんな颯流くんのことを母と一緒に介抱してた」 「えっ? そうなんだ」  その時、あることを思い出した。 「ひょっとして、美流先輩のお母さんの口元にホクロって……」 「あるわよ。よく覚えてたね、颯流くん。うふふっ」  そういうことだったんだ。  でも、お母さんと美流先輩は、同じ手の感触と同じ匂いがする。  そして、胸もやわらかくてとてもでっかい。 「あと、あの時した約束、覚えてる?」 「えっ? 約束?」 「もう、忘れちゃった?」 「何だっけ?」  彼女は、今まで見たこともないような優しい笑顔で僕にこう言った。 「今、颯流くんが私にしてくれたこと……」 「えっ? 今したこと?」 「分からなくてもいいよ」  そう言いながら、もう一度僕に抱き着いた。  彼女の大きな胸が、僕の心臓と呼吸を速める。 「私も同じ夢を、ずっと見続けていたから……」 (了)
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!