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「よくできました〜」
「はあっ。明日の夜は楽しみにしてろよ」
「…ほ、ほどほどにね?」
あたしと咲也は微笑みあって、もう一度軽くキスすると、あたしは咲也の肩に寄り添って目を閉じることにした。
そうだよ。三日間はずっと一緒なんだから。
こんなとこで声を抑えてコソコソエッチするより、明日の夜ホテルの部屋で堂々と思い切りした方が、いいと思わない?
え?
……そこじゃない??
*
そうして長い長い時間、程よくイチャイチャしながらも、あたしたちを乗せたバスは夜明け前、福井県へと入って行った。
早朝、ほぼ定刻通り終点の福井駅に到着して、そこから電車に乗って1時間くらいまた移動しなくちゃいけない。乗り換えの予定の電車の出発時刻まで10分。みんなはコンビニに寄ったり、トイレに行ったりして時間を潰している。
*
咲也はトイレから出て茉那たちがいるコンビニ前に行くと、ハンカチで手を拭きながら顔を上げた。光莉以外のみんなは咲也を見つめて、
「咲也。光莉がいない」
と茉那が言い出すと、咲也は首を傾げて茉那を見つめた。
「光莉がいない?…まったく。…みんなはここにいて。連れてくるから」
咲也は自分のバッグをそこに置いて「見てて」と言って歩き出すと、みんなは咲也を見つめて、
「咲也、光莉がどこにいるかわかるの?」
「見当ついてる?」
と茉那と陽菜が訊ねると、咲也は振り向いてニヤッと笑った。
「ハングリーの光莉が行くところといったら、あそこしかないだろ」
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