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咲也はそう言って少し早足で歩きながら腕時計を見る。あと5分くらいしかない。咲也はブツブツ言いながら駅弁コーナーに向かうと、予想通り、光莉が駅弁を物色していた。
「やっぱり…!」
咲也はクスッと笑ってしまったが、すぐに光莉に駆け寄って、
「光莉!」
と呼ぶと、光莉も振り向いて咲也を見て大きく手招きした。
「あ、咲也!!かに寿司!ここ名物??どれがいい?沢山あるの!焼き鯖寿司もある。うーーん。うーーーーん」
光莉は真剣に並んでいると、咲也はため息をついて、
「すみません。こっちのかに寿司、焼きサバ、一つずつください」
と店員に言って代金を支払うと、光莉は目を丸くして咲也を見上げて、
「両方はあたし、食べられないよ。ランチに支障が…」
と心配そうに言うと、咲也は微笑んで、
「俺と半分こすればいいだろ?」
と答えて店員からお弁当を入れた袋を受け取った。光莉は「おおっ」と言って大きく頷くと、
「あたしの彼氏は、よくデキる男だよぉ〜。さすがだよぉ」
と言いながら鼻息を荒くして感動している。咲也はそんな光莉を見て、
「光莉」
と言うと、光莉は頷きながらも顔を上げて咲也を見つめて首を傾げる。
「う??」
「は、し、れー!!」
と言って光莉の手を繋いで駆け出すと、光莉も驚いてカートを引きながら走り出した。
「お前、何気にマイペース過ぎ!!電車の時間、ヤバいぞ〜!」
「え?!マジ?!やだ。あはは」
「ほら。早く!」
そうして二人が走っていくと、コンビニ前で茉那たちが大きく手を振っていた。
「光莉!!おっそーい!!」
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