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そうしてあたしたちは電車に乗り込んで小浜市の方へと向かっていた。あたしは、かに寿司。咲也は焼きサバ寿司。時々、交換して。そうしてあっという間に完食すると、咲也は空になった弁当箱をビニール袋に入れて、今度はジャスミンティーのペットボトルを取り出して、
「飲む?」
と言いながら差し出した。
「飲む〜!ジャスミンティー!買っといてくれたの?!」
「うん。メシには、ジャスミンティーだろ?夕べは紅茶だったから、サッパリしたいかなって」
「そうなの。やだ。もう。惚れ直しちゃうね」
えへへへ。
あたしは頬を少し赤く染めて言うと、咲也も「えへへ」と一緒に笑って顔を見合わせた。
「やってらんないわ。なにこのお花畑。春はまだだけど?!まだヒンヤリしてますけど?!」
茉那はパンを齧りながらそう言って、何故かプンプンしている。匡平先輩はそんな茉那を見て、
「え?なんだ?茉那もあーいうの、やりたかったの?言ってくれれば甘えさせてあげたのに」
と言うと、茉那は「は?!」と言って驚いて匡平先輩の顔を覗き込んでいる。
「あのバカップルに触れて、感染でもしたの?やめて。キモ」
茉那は意外とクールだ。昔から変わってない。匡平先輩はクスクス笑いながら、缶コーヒーを飲んでいる。
「いや。色んな意味で感心だよ。あのツンツンしてた光莉ちゃんが、こんなバカップルになるとは。面白い」
「分かります。先輩」
陽菜までも、頷きながらしみじみと言っている。
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