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古谷部さんは不思議そうにあたしを見て、
「そんなにツンツンだったんだ?光莉ちゃんて」
と言うと、陽菜はプッと笑って頷いている。
「まぁ、あの頃は素直じゃなくてねぇ」
「うんうん。そうそう。振り回されたんだワ。私たち」
陽菜と茉那は頷き合っていると、あたしはちゃんと聞こえているから、ジャスミンティーをゴクゴク飲んだ後、
「ちょっとー。聞こえてるからねぇ」
「そうだぞぉ。聞こえてるぞぉ。光莉の方がメロメロなのは、ほんとだぞぉ」
「ちょっと、咲也?!」
あたしもムッとして咲也を睨みつけると、通路を挟んで隣のボックス席にいる2カップルは笑い合っている。
「福井には何年間いたんだ?咲也くん」
古谷部さんが咲也に訊ねると、咲也はペットボトルのお茶を飲みながら古谷部さんを見て、
「うーん。7年くらい、かな。あ。呼び捨てでいいっすよ」
と答えると、古谷部さんはニッコリ笑って「オケ!」と言って親指を立てた。
「でも、そんなに離れてて、よく、東京に戻れたね」
匡平先輩たちも不思議そうに言うと、咲也は眉をひそめて大きく頷いてあたしの肩を抱いた。
「父親を説得するの大変だったよ」
「執念だよね」
茉那は腕を組んで頷きながら言うと、咲也は茉那を睨みつけた。
「大変だったよ。ガキの言うことに合わせてくれるわけないだろ?大人が。仕事を簡単に変えられないし。高校は東京で一人暮らししてでも東京に行く予定だったんだけど。まあ、勿論ダメって言われて終わったけど」
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