第1章 そうだ。福井に行こう!

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寒いからマフラーを巻いてやって来た。 紺野咲也。 同い年で、あたしとは別の大学だけどバスケ推薦で大学に進学したから、毎日バスケ三昧のバスケ漬けだ。バイトで雑誌とかのモデルもしていて、何気にファッション誌ではなかなかの引っ張りだこだ。 彼女のあたしが言うのもなんだけど、 咲也はめっちゃイケメンである。←絶賛色ボケ中。 優しくて、男らしくて、イケメンで、バスケできて、ちょっと剣道もできて…。 そして。 そして、めっちゃエロい! 「なんてねー」 あたしは一人でそんなことを思って、ハッと我に返り勝手に照れて両手に顔を伏せた。 「なにやってんの?ヒカ」 ヒカ、というのはあたしのニックネーム。親しい友達やお父さんもたまにあたしを「ヒカ」と呼ぶ。 咲也はあたしの肩を抱いて顔を覗き込んで、 「なんか変なこと妄想してない?」 と訊ねると、あたしは顔をあげて咲也をみつめた。 「し、してないよぉ。やだなぁ」 「ほんとかなぁ?光莉の誕生日に目一杯イチャイチャしたのに、足りなかった?」 「えっ」 咲也はバッグを地面に置いてあたしの腰に腕を回すと、両手でぎゅっと抱きしめてくれて、あたしはなんだかフッと笑ってしまった。 「た、足りてますぅ。でも、楽しかったよ。誕生日デート」 「だろ?いっぱい計画したもん」 「あと、コレも…」 あたしは左手の薬指にあるペアリングを周囲に見せびらかせるように、左手を高く掲げた。 あたしの誕生日は、1月22日。19歳になりました。
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