あなたの幸せ

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「おーーい!花ーーー!」 私の名前を叫び、自転車を漕ぎながら、片手を大きく振り、こちらに近づいてくる。 アイツは、私の幼馴染の翔太。 家も近く、家族ぐるみの付き合いだ。 翔太は、自転車から降りて、適当な場所に自転車を止める。 私は、少し左にずれて座り直し、翔太が座れる場所を空ける。 翔太は、何も言わずに私の右側に座る。 いつもと同じように。 「こんなとこで何してんだよ。」 『いやっ、特になんも〜。』 「そっか。」 そこから、少しの沈黙が流れる。 ただ波の音だけが、2人の間に響き渡る。 そのとき、翔太がおもむろに立ち上がり、どこかへ走っていった。 しばらくすると、 「ういっ!これやるよ!」 私にコーンポタージュの缶を投げる。 落としそうになりながらも、その缶を両手で受け止める。 それは、小さい頃から2人で飲んでいたものだった。 懐かしい思い出が広がるとともに、コーンポータージュの温もりが手のひらの中で、じんわりと広がる。 『ありがと。』 「いやいや、奢りではないよ。」 おどけた調子で、翔太は私に右手を差し出す。 『ケチやろう。』 私は、翔太の右手を払い除ける。 そして、2人で顔を見合わせて、笑い合う。 この瞬間が、永遠に続けばいいのに。
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