序章 悪夢

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序章 悪夢

ー 妖祓(あやかしばら)い ー 打ち捨てられた廃屋には浮浪者や不審者が入り込むこともあれば、ヒトではない異形(いぎょう)のモノが棲みついてしまうこともある。 その多くは闇と影に半ば溶けてにじんだ存在で、知能もなく、太陽の下ではすぐに弱って消えてしまう。いわゆる低級の(あやかし)だ。 だが邪悪なモノや血を好むモノがいないわけではないのだ。連中は暗がりからひっそりと忍び寄って人を襲う。人を喰った妖は闇の力を増し、より邪悪に、そしてより残忍になってさらに人を襲う。 そうしてバケモノになり果てた妖を打ち祓い、弱い妖も強い妖もすべてこの世から蹴散らしてやるのが、妖祓いになった自分の務めだ。 夕聖(ゆうせい)はそう思っていた。
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