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「おまえは両親を亡くすのが早かったからな。弟が両方とも立派にでかく育ったんなら上々だ。よく頑張った。そうだろう?」
「……ああ」
雪夜が頑張ったというより、弟はふたりとも良く食べて良く遊んで、雪夜の言うことなんかあんまり聞かずに、かってに育ったという感じだが。
なぜかしんみりと労ってくれた海棠が、懐からおもむろに電卓を取り出した。
「まあそういうわけで、だ。カッパちゃんのお値段はこのくらいでどうだ」
「おまえ…あざといぞ」
「友好を温めてから金額交渉に入るのなんて商売人の鉄則だろう。だがまあ、俺とおまえの仲だからな。見ろ、かなり乗せてやってるんだぞ」
雪夜は特大の溜め息をついて片手を振った。
「俺に安い高いが分かるのは卵と肉全般だけだ。金額は任せる。適当に処理しておいてくれ」
「「ええええっ?!」」
リビングのドアが開いて、晴太と白兎がなだれ込んできた。
「ゆ、ゆ、ユキ兄っ、売るの? キュウ君のことは優しいひとに預けるって言ってたのに、マフィアのボスに売っちゃうの?!」
「もしかしてユキ、お金ないの? それなら僕が山でトリ狩ってくる。サカナも捕れるよ!」
白兎まで必死だ。
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