番外編 カッパと悪友

17/21
前へ
/477ページ
次へ
晴太と白兎がお互いを見つめ合う。 「そ、それならなにも売らなくたって…」 「お婆さんにカッパ育ててってお願いすればいい」 雪夜はつい、うんうんと頷いた。ウチの弟たちは真っ当に善良に育っている。海棠が肩をすくめた。 「それじゃあ俺は商売にならない。雪夜も金がもらえない。すると、どうなる? 俺はそこの可愛い白狐の男の子を捕まえて売り飛ばす。おまえ達が捕まった妖を助ける方法はひとつしかない。…金だ」 「そんなことない!」 晴太が勢いよく立ち上がった。 「ハクが悪いヤツに捕まったら俺が助けに行く」 「青いこと言うなよ」 海棠が低く凄んだ。怒鳴ったわけでもないのに威圧感が増して、部屋の空気が凍りつく。 「俺の部下は全員訓練された戦闘員みたいなものだぞ。妖だろうが人だろうが、うちの庭に侵入した時点で縊られて終わりだ」 ビクッと晴太が怯える。白兎がひしっと晴太に抱きついた。 「海棠、脅かしすぎだ」 「なぜだ? 俺は事実しか言ってない。ちなみに獣型の妖は生皮を剥がれて絨毯にされることも多いぞ」 「じゅっ、じゅっ、絨毯…っ」 口の中でもごもごした晴太がくたっと腰を抜かす。 「な? 怖いだろう。助けてほしいだろう。俺みたいなのと縁を繋いでおけば、融通が効くこともある。金で解決できることもある。だから雪夜は俺を使うし、いざというときのために俺に金を預けておく」
/477ページ

最初のコメントを投稿しよう!

171人が本棚に入れています
本棚に追加