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「適当に言っただけ、っていうかきみの顔に書いてあるよ。まあ、座れば? きみの犬はとっくにくつろいでいるけど」
チワワは後ろ脚で耳の後ろをわしゃわしゃ掻くと、自分の前足に顎顎を乗せ、葡萄のような丸い目をぱちぱちさせた。
「……失礼します」
男の子は小さくお辞儀をして、チワワの近くに座った。
「チワワって苦手なのよね。足なんてすぐ折れそう。生きているコワレモノって感じで恐いんだよね」
「オバサン、犬が苦手なの?」
「オバサンって言うな、少年。あたしには「ゆめきさくら」という名前があるんだから」
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