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「どうかなあ。前の浮気調査の時、危なかったじゃない! たまたまあたしがもう一人を尾行して同じ場所にたどり着いたから、とっさにカップルのふりをしてやり過ごしたけど」
「どちらかといえば問題は由目木さんの方です。あんな格好で」
「あんな格好?」
「つばの広い帽子にサングラス、一昔前の芸能人のバレバレ変装スタイルだったじゃないですか。あれじゃ目立ってしょうがない」
「あれはわざとです。あんな格好で尾行するなんて誰も思わないでしょ?」
「尾行は目立っちゃダメです」
エレベータを出た二人は暗くなり始めた通りを歩き出す。
「で、由目木さんが思う大人の協力者、って誰なんですか?」
「あら、そこに話が戻るの?」
「戻りますよ」
大木は肩を並べ、由目木を促した。
「気になるじゃないですか」
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