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「人はそう簡単に変われないものね」
洋子はため息をついた。
「劇団の合宿なんて、なかったことにも気づかないなんて」
「バレるわけないよ」
望は肩をそびやかしてめぐみの消えていったドアを見つめる。
「ヨーコさんのたてた計画は完璧だったよ。ヨーコさんは、バレてほしかったの?」
「いいえ。バレたら、クビになりますから」
洋子は微笑みを浮かべて望の腕の中のチワワに話しかけた。
「シェリーもお疲れだったわね」
「ねえ、どうしてシェリーを連れて行かなくちゃならなかったの?」
「散歩をしたまま、帰って来なかった、という設定にしたから仕方なかったんですよ。だって他にどうしようもなかったじゃないですか。学校も習い事も全部、車で送り迎えなんですもの」
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