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「これからは、みんなと同じように電車で通わせてくれることになったよ。パパはもうこの家には帰って来ないかもしれないけど、そうなっても自由に会えそうだし。これも全部、ヨーコさんのおかげ」
「お役に立てて良かったです。お疲れになったでしょう? 何か召し上がりますか?」
「ううん。パパとママと三人で食事をしてきたから」
「それは……良かったですね」
「ありがとう」
望は両手を洋子に巻き付けた。
洋子も望を抱きしめる。
全部、バレても良かったのに。
柔らかく小さな望の体を抱きしめながら洋子は思う。
ずっと育てて来た、この子が幸せであるならば。
この子が幸せになるためになら、自分はどんなことだってするだろう。
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