10.共犯者は別にいる

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「これからは、みんなと同じように電車で通わせてくれることになったよ。パパはもうこの家には帰って来ないかもしれないけど、そうなっても自由に会えそうだし。これも全部、ヨーコさんのおかげ」 「お役に立てて良かったです。お疲れになったでしょう? 何か召し上がりますか?」 「ううん。パパとママと三人で食事をしてきたから」 「それは……良かったですね」 「ありがとう」  望は両手を洋子に巻き付けた。  洋子も望を抱きしめる。  全部、バレても良かったのに。  柔らかく小さな望の体を抱きしめながら洋子は思う。  ずっと育てて来た、この子が幸せであるならば。  この子が幸せになるためになら、自分はどんなことだってするだろう。
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