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「うん?」
「あの二人に、相談できるような人がいるなら喜ばしいことじゃないですか。真実をすべて暴いて日の元にさらけ出すことが正しいは限らない。むしろ、そこは共犯者となってあえてあばかない、そ知らぬふりをすべきです。それが粋ってもんですよ」
「なるほどね。うん。たまにはいいことを言うね。大木君」
「だ・か・ら・たまに、じゃなくて結構よく、いいことを言うんですよ僕は」
「そろそろ帰る? お腹いっぱい」
また、人の話を聞いてない。
大木はぶつぶつ言いながら熱いお茶を飲む。
「はあー。染みる」
「やっぱり、最後は熱いお茶よね。麦茶だったらもっと良かったけど」
「世間では麦茶は夏のクールな飲み物のイメージが強いんですよ」
「あたしがその常識を覆す! 麦茶はホット!」
はいはい、帰りますよと大木は立ち上がった。
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