10.共犯者は別にいる

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「うん?」 「あの二人に、相談できるような人がいるなら喜ばしいことじゃないですか。真実をすべて暴いて日の元にさらけ出すことが正しいは限らない。むしろ、そこは共犯者となってあえてあばかない、そ知らぬふりをすべきです。それが(いき)ってもんですよ」 「なるほどね。うん。たまにはいいことを言うね。大木君」 「だ・か・ら・たまに、じゃなくて結構よく、いいことを言うんですよ僕は」 「そろそろ帰る? お腹いっぱい」  また、人の話を聞いてない。  大木はぶつぶつ言いながら熱いお茶を飲む。 「はあー。染みる」 「やっぱり、最後は熱いお茶よね。麦茶だったらもっと良かったけど」 「世間では麦茶は夏のクールな飲み物のイメージが強いんですよ」 「あたしがその常識を(くつがえ)す! 麦茶はホット!」  はいはい、帰りますよと大木は立ち上がった。  
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