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相手は子供だ。
お客にはなりそうもないが、それでもここに来た理由ぐらいは聞いておかねばなるまい。
「で、望くんはどうしてここに来たの?」
「探偵ってどういう仕事をするの? 宝石泥棒を捕まえたり悪の組織と戦ったりする?」
「そんなふうに見える?」
由目木は両手を広げてひらひらさせた。
ワンピースの派手な色彩が部屋の中を泳ぐ。
「見えない」
がっかりしたように口を尖らせ、望は足元にうずくまるチワワを撫でた。
「でしょ? そういう仕事は警察の人がするんだよね。あたしたちは警察ではやらないようなことをするわけ。人について調べたり、探したり」
「じゃあ、いなくなった人も探したりする?」
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