1.探偵は占い師にあらず

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「人を探してるの?」  望は首を横に振った。  由目木は爪が真っ赤に塗られた指を一本自分の前に立てると「はああん」と頷いてその指で望を指した。 「もしかして、キミ、家出? それであたしに狂言誘拐(きょうげんゆうかい)でもさせるつもり?」  お金持ちのお坊ちゃまの両親の愛を確かめるための思いつきか。  発想は陳腐(ちんぷ)だが、実際に行動に移すまでに追い詰められている何かがあるなら、それはそれで問題だ、と由目木は思う。
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