14人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
「仕事に支障」
由目木は両手を広げて望の言葉を繰り返した。
「今時の小学生ってずいぶん難しい言葉を知っているのね!」
「別に難しくないでしょ。普通だよ。……本当にこの人達で大丈夫なのかなあ」
失礼な望の発言を咎めるどころか、まるきり無視して「それはそうとチェリーは水でも欲しいのかな?さっきから舌を出しっぱなしだしそわそわして落ち着きがないんだけど」と大木は腰をかがめてチワワの丸い目を覗き込む。
「チェリーじゃなくてシェリー」
すかさず望は訂正した。
「多分、お腹がすいているんだと思う」
そう言って傍らに置いていた自分のリュックサックから、ドッグフードの袋を取り出した。
「準備のいいこと」
「シェリーはこれじゃなきゃ食べないんだ」
「どうして犬と一緒なのかな? 家出に犬は邪魔だろう?」
最初のコメントを投稿しよう!