2.生意気な依頼人

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「お母さんは仕事で家にほとんどいないから、シェリーをひとりにしたくなかったんだ」  そう言いながらがりがりと餌を食べるシェリーに手を伸ばし「ウウ」とすごまれびくついた望を見て由目木は(おどろ)いた。 「こんなに小さな犬でも、(うな)ったりするのね」 「そりゃ、犬だっていつもゴキゲンってわけにはいかないよ」  望はバツが悪そうに手をひっこめた。 「さて」  大木は小皿に水をついでシェリーの前に置いた。 「どうするんですか? このチラシを()くだけで、すべてが解決するんですかね? 僕達、家出の片棒(かたぼう)を担いだ誘拐犯になっていたりしませんか?」
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