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「すごいですよねえ、私なんて一行も覚えられないです。何か覚えるコツでもあるんですか?」
「そんなものがあるならこっちが教えてもらいたいくらいよ」
立ち上がると深呼吸をして目を閉じた。
目を開ければ濱田めぐみはいなくなる。
次の瞬間から、私は役柄である野原千里になるのだから。
それにしても、とめぐみは目を閉じたまま、考えずにはいられない。
なぜあの子は犬を連れて行ったのかしら?
誕生日に買ってあげたあの犬をとてもかわいがっていたことは知っている。
そこまで考えて、濱田めぐみは自分がいつの間にか望は「家出」したのだと思っていることに気付く。
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