14人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
どうしてすぐに知らせなかったんだ、あの子は私の子でもあるんだぞ、電話越しになじられて泣きそうになったことを思い出す。
なぜあのひとは一緒に心配したり、大丈夫だよという慰めの言葉をかけることができないのだろう。
「ひょっとしたらあなたなところに行ったのかもしれないと思ったけど、違ったみたいね。よく考えたら、あの子があなたのところへ行くわけがないもの」
「どう言う意味だ」
「父親らしいことなんて、なにひとつしなかったじゃないの」
「お前がちゃんと見ていないからこんなことになったんだろう」
「あなたにお前呼ばわりされる筋合いはありません」
お互いが傷つけあうためだけの会話だった。
最初のコメントを投稿しよう!