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ごんごんごんごん、ドアを叩く音に由目木は「はーい。どうぞ。開いてますよお」と伸びやかな声を出した。
ノックする相手は客と相場が決まっている。
だとすれば愛想よく迎迎えるのは当然だ。
きいー、ためらいがちに細くドアが開いた。
が、それきりである。
由目木はしばらくの間、細く開いた空間を見つめていた。
願わくば、簡単でかつ金払いの良い案件でありますように。
そんな願いを込めて再び 半開きのドアに向かって「どうぞ」ともう一度、声を張ったがドアは動かない。
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