4.魔女の素顔

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   プラスチックのカップを左右に一つずつ持って、緊張した顔でセルフサービスの水を汲むとほんの少し得意そうな顔をして、こぼさないようにそうっと運んでくる姿を大木はじっと見ていた。 「何?うれしそうな顔をして」 「いや、ありがとう。いつもは、運んでくる側だからさ」 「さくらさんに、こきつかわれてるんだ」 「まあね」  望は不安そうにあたりを見回した。 「うまく()けたのかな」 「すぐにわき道にそれたから大丈夫だと思うよ」 「そっか。プロが言うんだから大丈夫だよね」 「ああ。心配せずに飯を食え」  確信はなかったが、平然と答えた。  大人には子供を安心させる義務がある。
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