4.魔女の素顔

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「あの人と暮らすのは大変だろう?」 「まあね」 一人前の顔つきで言っているが、つるつるの鼻とふっくらしたほっぺたは十分幼い。 「何歳だっけ」 「十歳」 「十歳というと小学……」 「四年生」 「そうか」  パソコンで打ち出した紙をクリアファイルに挟んだだけの、手作り感満載の日替わりメニューをどれにしようか見ていると、大きな丸い頭が割り込んできて「あ、ぼく、これにする。ネギトロ丼、赤だし漬物付」と即決(そっけつ)した。 「オムライスとか、ハンバーグとか、唐揚げじゃなくていいのか?」 「あのね、こういうものにはハズレがないんだって。お母さんが言ってた」 「……なるほど」  確かにネギトロ丼の場合、素材の問題が大きく料理の腕が問われるということはない、つまりどこで食べても極端(きょくたん)にマズいということはないだろう。  一理(いちり)ある。
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