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5.本物は誰だ
「マキタさんは親の知り合いだよ」
望は簡単に答えた。
簡単すぎて関係性が全然わからない。
ただの知り合いではないだろう。
そもそも望は色々なことを隠している。
何の収穫もなく戻れば、由目木に罵声を浴びせられるに決まっている。
腹がふとれば、口も軽くなるだろう。
皿が空になっても、全部わかるまではここを出ないぞ。
そんな決心を胸にコップの水に口をつけた。
「お昼のニュースをお伝えします」
食堂のカウンターテーブル横に設置してあるテレビの画面には、十秒後には忘れてしまいそうな顔立ちの女性と男性が並んでこちらを向いていた。
「女優の濱田めぐみさんと会社役員中村秀一さんの長女、中村望さん十歳が昨日、飼っていた犬といっしょにいなくなりました」
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