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ん?
ごくん。
飲んだ水が変な方に押しやられ、むせた。
「うっげほごほん」
妙な咳をしながら、画面を見つめる。
「望さんは犬の散歩に行くと夕方家を出たまま消息をたっており、何らかの事件にまきこまれた可能性もあるとみて捜査に踏み切りました。家を出た時の服装は水色の長袖シャツにグレーのハーフパンツ、靴は青いスニーカ、犬は白のチワワで……」
ああ、自分の咳が邪魔だ。
こらえようとすればするほど咳は止まらず、小さな手が背中をさすっているのを感じた。
「大木さん、大丈夫?」
大丈夫じゃねえよ、と声にならない声を胸の中に押し込みながら大木は懸命に咳を収めようと努めた。
おまえだって、大丈夫じゃないだろう?
中村望。
テレビ放映されちまったじゃないか。
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