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呼吸を整え、汗だくになったところに店のおばちゃんが現れた。
「お待たせいたしました。オムライス定食と野菜炒め定食です」
湯気の立った皿をそれぞれの前に置くと、伝票を大木の前にすべらせ「ごゆっくり」と一礼して去っていく。
まいったな。
有名人の子供かよ。
望を見ると、顔を見られたらやばいと思ったのか、真下に伏せていた。
「おい」
勘弁してくれよと思いながら大木は問う。
「長女、ってことはおまえ、女の子だったのか?」
「……」
テレビ画面に「中村望」の写真が提示された。
「あれ?」
ちがう、ちがう、全然違う。
テレビ画面に映った「中村望」は大木の隣に座っている中村望とは全くの別人だった。
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