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「まさか、真っ昼間からユウレイは来ないよね」
呟くと背伸びをするように覗き込んだ。
「あら」
鬱陶しいくらいに長い睫毛に縁取られた大きな目はさらに大きく見開かれた。そのまま、かつかつとヒールの音を響かせドアの方へと歩み寄ると腰を折った。
「こんにちは。何か用?」
「あの、ここって、探偵事務所ですか」
サラサラ揺れるまっすぐな髪の下にはくりんとした目と桃色の唇があった。その腕の中には白い大きな毛玉のようなチワワがピンク色の舌をちらちら出しながら濡れた真っ黒な瞳でこちらを見つめていた。
「チワワ……」
不思議なものを見るような目つきで由目木は眉をひそめた。
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