1.探偵は占い師にあらず

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「まさか、真っ昼間(まっぴるま)からユウレイは来ないよね」  (つぶや)くと背伸びをするように(のぞ)き込んだ。 「あら」  鬱陶(うっとう)しいくらいに長い睫毛(まつげ)縁取(ふちど)られた大きな目はさらに大きく見開かれた。そのまま、かつかつとヒールの音を(ひび)かせドアの方へと歩み寄ると腰を折った。 「こんにちは。何か用?」 「あの、ここって、探偵事務所ですか」  サラサラ()れるまっすぐな髪の下にはくりんとした目と桃色の(くちびる)があった。その(うで)の中には白い大きな毛玉のようなチワワがピンク色の舌をちらちら出しながら()れた真っ黒な(ひとみ)でこちらを見つめていた。 「チワワ……」  不思議(ふしぎ)なものを見るような目つきで由目木は(まゆ)をひそめた。
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