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黙々と食べ始めた大木に倣って、望も渋々渋々スプーンを手に取った。
野菜のシャキシャキ感を楽しみながら、大木はご飯をかきこんだ。
─この食堂、初めて来たが「アタリ」だな。
もりもり食べながら、横目で望を見ると、気が進まなそうにスプーンでオムライスをほじくるように食べていた。
ひとくち、もうひと口。
食べるスピードが少しずつ上がり、小さくしか開かなかった口がだんだん大きく開き、唐揚げにも手をのばした。
─そうこなくちゃ。
しょんぼりした子供の相手ほど、気が滅入るものはない。
空になった皿を前に、水を飲み干し一息ついた。
テレビ画面はとっくに「今週のお天気」コーナーに変わっている。
「それで」
大木は望の方に向き直った。
「お前は、誰なんだ?」
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