6.お役に立てれば光栄です

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 マキタが帰ったことを由目木に確認してから事務所に戻ると、由目木が両肩を大げさにすくめながら二人を迎えた。 「これが」  由目木が写真をひらひらさせた。  まっすぐな長い髪を背中まで垂らした女の子がそこには写っていた。 「味方になってもらいたいんなら(だま)しちゃダメよ」  「望、じゃなくてキミ、本当の名前は?」 「波多野 翼(はたの つばさ)」 「翼と中村望はをしたらしい」 「入れ代わり家出?」  由目木はマスカラでよりゴージャスになった睫毛に縁取られた目をぱちぱちさせた。 「もっかい言って。意味わかんない」  
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