6.お役に立てれば光栄です

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「聞きます、聞きます」  二人は再び翼の方に向かって座り直した。 「望ちゃんとは劇団で知り合ったんだ」 「劇団?」 「濱田めぐみの娘なら劇団に入っていても不思議じゃないでしょう」 「翼、もしかして役者志望なの?」 「まさか。親が心配して入れただけだよ。学校はキライ、友達はできない、全然しゃべらない、せめて自分の言いたいことくらいは言えるようになりなさいっていう、ありがた迷惑な親心」 「ちょっと待った」  大木が望の前に手のひらを広げ、ストップ、の合図をした。 「誰が全然しゃべらないって?」 「学校ってつまんないんだよ。みんなと話が合わないし」 「そりゃ多分、お前の方に問題があると思うよ」 「わかってる」 「そうやってわかってる、っていうところがだよ。そんなもん、わかんなくていいんだよ。お前、我慢しすぎなんだよ、いろんなことを」
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