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「どうしてそんな面倒臭いことを」
「リコンはメーワクだからさ」
翼は口を尖らせた。
「こっちは完全なとばっちりなわけ。相談なしで、そりゃ、全然わからなかったとは言わないけど、でも、いきなり言われてもね。巻き込みたくなかったとか言うけどそんなのウソだね。だって結局は巻き込まれちゃうんだから」
「厳しいことを言っちゃうけど、家出をしたところで何の解決にもならないよ? 覆水盆に返らず、割れた茶碗は元に戻らず、一度できたしみは消えない、ってご存知?」
「修復法がないわけじゃないと思うが」
「接着剤でくっつけても、割れたことに変わりはないし、高価な美白化粧品をつかってもなかなかしみは消えないものなのよ」
「その例えは不適切です。人の心は変化する。けんかをしても仲直りできる。一度壊れたら終わり、ではない」
「さくらさんのしみとリコンを一緒にしないでくれる?」
二人から反論を喰らって、由目木は両手をあげ、「降参」のポーズをした。
「ハイハイ、わかりました。あたしが悪うございましたよ」
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