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「まあ、お茶でも飲もう」
大木は事務所の隅にある小さなキッチンに引っ込むと、お盆にマグカップを三つ載せて戻ってきた。
「これ、何?」
「香ばしいでしょう? ホット麦茶」
「麦茶って普通、冷たくして飲むものじゃないの?」
「そんなこと、誰が決めたの? あたしは一年じゅう、あったかい麦茶を飲んでいるわ。ホットの方が断然おいしい」
「まあ、好みだろ。おかげでこの事務所には一年中麦茶があるわけだ。あ、冷たい方が良ければ氷をいれるけど」
「ううん」
翼はマグカップを抱えた。
「これはこれでおいしいよ」
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