7.所詮周りは敵だらけ

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7.所詮周りは敵だらけ

   まったく、と濱田めぐみは地団太(じだんだ)を踏みたい心境だった。  どうして勝手に警察に行ったの、行くなら行くと先に言ってくれないと困るわ、と思わず怒鳴ると「言ったさ」と軽く返された。 「警察に連絡しなきゃ、って言っただろう? きみがドラマの撮影中だというからオレが一人で行ってやったんじゃないか。感謝すべきだろう?」  感謝?  それっておかしくない?  だって自分の娘のことでしょう?  それに、行くなら一緒に行くべきじゃないの?   、だなんて恩着せがましい!  私たち、仲が悪いんです、もめています、そう世の中にアピールしているようなものじゃない。  そうでなくても、別居中の理由をあれこれ勘繰(かんぐ)られ、あることないこと書きたてられている最中なのに。  かっかとにえたぎるような胸の中、これもあの子が家出なんかするからだ、と憎らしく思う。  
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