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ちりちり、と電話が鳴った。
「はい。あ、マキタ?」
「望さんが見つかったそうです。例の探偵事務所から連絡が」
ああ、声にならない声が胸の奥から出て、ベッドに崩れ落ちそうになる。
「よかった」
息を吐いたとたん、涙が溢れ出し濱田めぐみはそんな自分に驚く。
こんなシーンをかつて演じたことがあったような、なかったような。
「すぐに、迎えに行くわ。車を」
涙を手のひらでぬぐい、めぐみは立ち上がった。
「いえ、それが」
電話の向こうでマキタが言い澱む。
「午後三時に、中村様といっしょに迎えに来てほしい、とのことです」
「中村と?」
どちらにしても、中村には「見つかった」という報告を入れなくてはならないし、テレビで報道された以上、揃って記者会見の一つもしなくてはならないだろう。
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