8.子供の願い

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「やはり、家出でしたか」  中村秀一は品のいい笑みを浮かべた。  やわらかにほんのわずか湾曲したくちびる、目尻に浮かぶ皺、なにもかもが好感に変わる完璧な微笑み。  だが、ビジネスライクな微笑みだ。 「それで、娘は」  濱田めぐみは、身を乗り出した。 「早く会せて下さい」 「今、呼びます」  由目木は事務所の奥にあるキッチンの方に向かって呼びかけた。 「望さん、こちらにいらっしゃい」    
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