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めぐみは由目木を失望の目で見た。
「この子は望ではありません」
白いチワワを抱いて現れた翼を見て、二人は失望と苛立ちを隠しきれないようだった。
「望は女の子ですよ? そう伝えたはずですが」
イライラを懸命に抑えた声でめぐみが言う。
「どう見ても、男の子だわ」
「人違いってわけですか……」
中村秀一は組み合わせた両手を額に当てた。
「そんな。あり得ないわ。だってマキタがちゃんと写真を渡したはずよ」
「マキタ? 自分でここに依頼に来なかったのか?」
「私がここに来たことが、マスコミにばれたら困るでしょう」
「マスコミマスコミ、おまえはいつだってすぐそれだ。お前は望の母親じゃないのか」
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