8.子供の願い

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 自分を呼ぶ声を聞いたチワワは弾むように子供の腕から飛び降り、小さなピンク色の舌をはっはと出してその足元に駆け寄った。 「シェリー、望はどこにいるの?」  ぶんぶんしっぽをふり、小さな前足でとんとん濱田めぐみの膝を打つ。  その小さな頭をなでるとめぐみは自分の胸に犬を抱き上げた。 「いったい、これはどういうことかしら」 「ぼくは、波多野翼です。望ちゃんの友達です」  翼は決心したように一歩踏み出すと、しっかりした声で告げた。 「望ちゃんはお二人と暮らしたくないそうです」 「は?」  ふたりはぽかんとした。 「どうしてそんなことをあなたに言われなくちゃならないの?」
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