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自分を呼ぶ声を聞いたチワワは弾むように子供の腕から飛び降り、小さなピンク色の舌をはっはと出してその足元に駆け寄った。
「シェリー、望はどこにいるの?」
ぶんぶんしっぽをふり、小さな前足でとんとん濱田めぐみの膝を打つ。
その小さな頭をなでるとめぐみは自分の胸に犬を抱き上げた。
「いったい、これはどういうことかしら」
「ぼくは、波多野翼です。望ちゃんの友達です」
翼は決心したように一歩踏み出すと、しっかりした声で告げた。
「望ちゃんはお二人と暮らしたくないそうです」
「は?」
ふたりはぽかんとした。
「どうしてそんなことをあなたに言われなくちゃならないの?」
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